先週、10/16-10/19に幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2018を打ち合わせを兼ねて、探訪してまいりました。今回は、特にIoTとCSPをメインテーマとしたエキジビジョンとしてマスコミでも多く取り上げられておりました。こうした新しい技術によるイノベーションをテーマとするエキジビジョンは、過去、太陽電池、燃料電池などの再生可能エネルギー技術など、潮流に応じたテーマでにぎわいを見せておりますがが、共通するのは、実際にその分野に直結する企業・団体よりも、電子デバイス・部品等の上流にいる産業の方が、ビジネスの新活路を求めて、より活発に動くという性質があるように思います。今回もその傾向が見られ、デバイス・部品セッションには、より熱がこもった展示が多かったとの印象です。
やはり、目玉は、前評判が高かったPrefered Networksの展示で、ブースには目立って大勢の人を集客しておりました。特設サイトがあるので、ご興味のある方は詳細をご覧頂きたいのですが、最先端の深層学習技術を応用した「全自動お片付けロボットシステム」のデモがありました(https://projects.preferred.jp/tidying-up-robot/)。同システムでは、進化した1)objective 2)Picking & Placing ObjectsにHuman interactionの機能をアピールしたデモで、進化した画像認識エンジンにより、従来では困難であった詳細な識別が可能となり、部屋にランダムに散らかっている、さまざまなObjectを認識し、繊細なカテゴリ判断(例えば、くしゃくしゃにおかれているタオルとたたんで置かれてタオルは、形状は異なっていても”タオル”と認識する等)が可能となったとのことで、また、さらに高度な学習を積ませることで、複雑形状でもPick upできる制御能力を獲得し、より実際の生活場面への実用に近づいたことをアピールするデモでした。
確かにデモは、さらに深層学習の技術進化を示す素晴らしいデモでしたが、実際にこのレベルにするのにはどのくらいのコストがかかるのかが気になりました。説明員のエンジニアの方に質問したところ、具体的な学習条件等は教えてもらえず、学習プロセスは従来と比較して想像を超えるほどヘビーではなく、デモ環境下での動作の完成には、トータルで半年程度の期間を要したとのことでしたが、現実問題では、使用条件や環境は多様となるのは必須で、現実の汎用的な条件化での使用には、まだ距離があるでは?とも感じました。以前、現在のディープラーニングブームの初期に、現在では超著名となった東京大学の松尾豊先生に、”AIの第三ブームがまた失速する可能性はないのか?、あるとすれば何が要因となるか?”という質問をしたことがあります。その際の先生は、コストの問題を要因として取り上げておられましたが、今回のデモを拝見し、今後の深層学習を応用した機器・サービスは、コストの問題を意識すべき時期に来たとも感じました。今後、レベル3以上の自動運転などの進展も同様な問題に直面すると予想しますが、今後のAI技術を応用した機器(AIエレクトロニクス)の市場浸透においては、さらなる性能向上のみならず、学習をつかさどるエコシステムの形成と学習コストの問題に焦点が当たると考えられます。