日立化成、データ不正か?半導体素材で異なる検査手順

 大手化学材料メーカーの日立化成の検査データ不正問題が、ここ数日で報道されております。報道によれば、その対象製品分野は、6月に発覚した製品に加え、半導体材料や自動車部品材料を含み、新たに28品目で不正が発覚したようです。実際の不正内容とは、1)顧客と予め取り決めていた検査を怠っていた、2)取り決めとは異なる検査方法で検査を行っていた、3)検査報告書に実績値と異なる数値を記載していた、4)測定機器の変更について顧客への届け出を申し出ていなかった、5)顧客との取り決めた検査条件は守っていたが、社内規制を守っていなかった等とのことです。半導体材料においては、CMPスラリー、ダイボンディング材料、半導体用ポリイミド、封止材、絶縁用塗布材料が対象となっております。現状では、幸いにも、性能上の不具合や安全上の問題は報告されていないとのことですが、個人としては、今後のデータ社会の問題を象徴する事例の一つかと捉えております。

 このブログでも、データ駆動社会の到来とデータの重要性について、さまざまな角度から指摘していますが、企業のデータ不正問題は、自動車、鉄鋼、そして、ついにICT産業を支える化学材料までに広がりを見せております。こうした事例を期に、ICT産業では以下の動きが顕在化してくると予想されます。

*企業内の生産データの管理及び監査に対して、プロセスの見直しや検査強化が求められる。

*企業内に留まらず、サプライチェーン内で企業間のクロスチェックのニーズが高まる。場合によっては、プロセスコストの増加につながる。

 今回の事例も、不正は5年から10年前からあったようで(従来では大きな問題とならなかった)、これはデータ駆動社会の到来に向けて、従来のデータ検査の認識基準が大きく変化してきているという、一種のパラダイムシフトと捉え、企業は対応すべきでしょう。特に、自動運転や生産のAI化など、IoT/ビックデータを基盤とするビジネスやインフラの構築に傾注するICT産業においては、今後もデータ検査や管理に対する新たな規制及びマネージメントが強化されてゆくと考えられます。

2018年11月05日