マーケットシェアランキング調査

 桜の季節となりました。今年は例年より早咲きのようですが、この季節になると、毎年大手のIT調査会社からは、半導体や電子機器等のハイテク市場に対して、前年の出荷実績の企業ランキングが発表になります。真にブランド力と組織力のある大手調査機関ならではの一大イベントですが、調査を担当するアナリストはこの時期は繁忙期となります。

 私も前職では、20年以上に渡り、半導体材料や製造装置などのマーケットシェア調査に従事しておりました。具体的な調査手法や内容は”おとなの事情”で申し上げられませんが、調査の大枠としては、対象企業へのコンタクトや公開財務情報、第三機関からの情報等を精査して、最終的な売上評価値を算定いたします。この売上評価値の算定をめぐっては、計上期間や製品の仕様・カテゴリーの確認等の議論をめぐり、各処で調整が必要となる場面も多々あります。

 最近では、半導体企業の競争が激化していた90年代ほどではありませんが、それでも、発表されるシェアの変動がその企業の事業部門の方々の業績評価にも影響する場合もあるようで、算定においてはかなり神経をすり減らし、毎年調整に疲弊しておりました。調査プロジェクトの締め切り前日でも、企業との調整が難航している場合には、”明朝、自分の体は東京湾に浮かんでいるかもしれない”などと、よく米国の同僚に冗談を言ったことを思い出します。このため、ここ十年以上は、真面にお花見を楽しんだ記憶がありません。幸いにして、もう、こうした活動からは引退いたしましたので、今年はお花見を満喫いたしました。

 また、先ほど、”評価値”と申しましたが、今までクローズした環境でデータが使用される限りは、あまり問題にはなりませんでしたが、今後、評価値をデータアナリティクスやモデル分析等で数理処理を行う場合には、そのデータの性質に関して注意が必要であると感じております。この危惧については、機会を改めて、触れたいと思います。

 

2018年04月07日